本当の第一号宿泊者

ママチャリ三人衆
ママチャリ三人衆

ここを購入してから2ヶ月目に入った2月の初め頃の連休の初日のとても寒い夜のこと。

その日僕たち夫婦はこの家に初めて寝ることになった。

寝具もまだ運び込んでおらず、この時は寝袋二つとこたつを購入して初めての二人だけのお泊りになるはずだった。

こたつをセットして寝袋の感じを確かめようとしていた夜の8:00過ぎのこと。

家に響き渡るチャイムの音「ピンポーン」

はて、ここには誰も知り合いはいないし誰かなと思って真っ暗な玄関を開けると

そこにはママチャリを持った若者3人が立っていました。

「僕たち福岡からママチャリで阿蘇に来ました。

でも道を間違えて予約していた宿とは真反対の場所に来てしまい、宿の人からそのへんで宿を探すように言われました。泊まれますか?」

「えっ!ここは以前ゲストハウスだったけどもう去年(2012年)の11月いっぱいで

やめているし、僕たちも今日初めてここに泊まるだけどほかになかったの?」

「はいどこも満室で泊まれないんです」

どうしよう、家内に事情を話すと「とにかく寒いし中に入ってもらったら」

ということで彼らを中に通し事情を聞くと前回宿泊した時に持ち帰ったパンフレット

がここの前のゲストハウスのもので彼が間違えてそのパンフレットに従ってここに来たとか。

小さなダルマストーブで暖をとっている彼らを見たとき泊めざるを得ないと思った。

とにかく彼らが寝られるように、僕たちが寝る予定の寝袋を渡し、足りない寝具を

買いに近くのディスカウントストアに走り、なんとか毛布のようなものを買ってきて、エアコンをガンガン効かせて寝てもらうことにした。

食事はと聞くと近くのコンビニで済ませたとか。

しかし食べ盛りの若者、カップラーメンを作ってあげると美味しそうにすすってあっという間に平らげてしまいました。

さて僕たち夫婦はどうしようかと考えた末、エアコンを効かして、こたつに潜ることにしました。

ところがエアコンの温度をいくら上げても冷風しか出てこないんです。

一晩中寒さに震えながら一睡もできず、明け方近くになってようやくエアコンが誤動作していることに気がつき、リセットをかけるとようやく暖かい空気が出てきたけれど時すでに遅し。朝になっていました。

僕らの朝食にと買っておいたパンとサラダを彼らにも提供し彼らは美味しそうにペロリと平らげてしまいました。

話を聞くと、福岡の高校三年生野球部の仲良し三人組で卒業旅行として朝の九時に福岡をたったとか。若いてすごいですね。

ということで彼らが本当の第一号の宿泊者でした。

もちろんお代はいただいておりません。

そして僕ら夫婦にとってもここでの最初の思い出深いお泊りとなりました。